第十章 修行編 その2


リョウが出席した会議で、ある話がリョウに持ちかけられた。


「え?」


その話を聞いて、リョウはひどく驚いている。


「僕が新しい学校の教師に、ですか?」


そう、リョウに持ちかけられた話と言うのはそれだった。

今度新しく出来る学校の教師に、リョウが選ばれたのだ。

ちなみに、ショウたちの学校は新設校のほうで、旧校舎は老朽化のために取り壊されてしまった。


「ですが・・・。」


リョウはあまり乗り気ではなかった。

今の学校でもそんなに成果は上げていないし、未練も残っていた。


「しかしリョウ先生、これは学園長の指示ですので・・・。」


「分かりました・・・。」


しばらく、リョウは悩んでいた。

このまま、新設校に赴任していいものか、と。


そしてこの話は学校中に広まっていた。

中には、リョウのやり方が気に食わないものもいるが、ほとんどは、リョウには興味なし、といった感じだ。


そんな中、一人だけ真剣にリョウのことを考えている生徒がいた。


リナである。


「あの、先生・・・。」


「なんだい、リナさん。」


「どうしても、行くんですか?」


「まあ、行かなければならないからね。」


「そう、ですか・・・。」


リナはひどく残念そうにしている。


「でも、ここからそんなに遠くない所だし、また会えるよ。」


「ですが・・・。」


「それより、君はここでがんばらなくちゃ。」


「・・・はい。」


リナはしぶしぶ納得したようだ。


「それじゃ、僕は学園長の所に行ってくるね。」


「あ、はい。」


「それと・・・。」


「え?」


「今度、一緒にその新しい学校を見に行かないか?」


「あ・・・分かりました。」


「次の休日・・・明日はどう?」


「はい、約束です。」


リョウとリナはそういって一緒に新設校を見に行くことを約束した。

リナは明日が待ち遠しかった。


その日、リナは家に帰ると、父親から受け継いだ家宝の大剣を探し始めた。

いつも優しくて、実践が苦手なリョウのために何かしてあげたかったのだ。


その剣は、昔からこう伝えられている。

「魔封じる剣心強き者導く、其れ即ち協調の心。魔滅する剣体強き者導く、其れ即ち努力の心。魔操る剣技強き者導く、其れ即ち創造の心。三種の心揃いし時、其れ即ち伝説の剣を生ずる也。」

と。


これは父親の口癖でもあり、大切な人へ贈る言葉なのだ。

リナは、リョウならこの剣を正しく使ってくれると信じて、渡そうと決心した。


ふと、倉庫の中で古い箱を見つけた。

そこには、「三心一味之剣」と書かれている。

恐らく、これが父親から受け継いだ剣なのだろう。


ところが、その箱を開けようとして、別の箱も空いてしまった。

それは「開封厳禁」とかかれ、お札で封印してあったものだ。


長い年月の末に、封印がとけかかっていたのだろう。


とりあえず、その場は何も起こらなかった。

リナも安心したのか、その箱を放置しておいた。


一方リョウは、リナの前ではああいったものの緊張していた。

確かに明日は楽しみでもあったが、それは自分が新設校に行くことを認めることになるからだ。


それぞれの思いが交差する一夜であった。

だが、その「明日」は簡単には終わらないのである。


第十章 終わり


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