第十一章 修行編 その3


長い夜が開け、ついに運命の朝がやってきた。

リョウとリナはその新しく出来る校舎に向かって歩いていた。


「あの・・・先生。」


突然、リナが話しかけた。


「なんだい?」


「その新しい学校って、生徒はどれくらいいるんですか?」


「どうしてそんなことを聞くんだい?」


「それは・・・。」


リナはあれからしばらく考えていた。

どうしたらリョウと一緒にいられるか。

その答えとしてリナはある一つの結論に達した。


編入である。

つまり新しい学校の生徒になればいいのだ。


「わーーーーっ」


リナがそんな思いにふけているうちに、遠くから悲鳴が聞こえた。

新校舎の方からである。


「どうしたんだろう?」


「わかりません。」


「とりあえず行ってみよう!」


「はい。」


二人は校門の前に立ち止まった。

中に一匹の山犬がいたからだ。


「先生、あれ・・・。」


「ああ、魔力に操られている。何とかしないと・・・。」


「あの・・・。」


「なんだい?」


「これ、よかったら使ってください・・・。」


そういってリナはあの剣を差し出した。


「これは・・・。」


「我が家に伝わる剣です。色々言い伝えがあるんです。」


「わかった。試してみよう。」


リョウは剣を振った。

しかし、思ったより山犬はすばやく、かすりすらしなかった。


「外れてしまったか・・・。」


「あの、先生。この剣にはこんな言葉があるんです。」


「え?」


リナはリョウに全てを説明した。


「わかった。そういうことか。」


そういうと、リョウは剣を持ったまま立ち止まった。

そして・・・。


「ぐああああ・・・。」


山犬はうめき声と共に元の姿に戻っていった。

魔力が完全に抜けたようだ。


「どうやったんですか?」


リナはこの状況が信じられなかった。

さっきまで当たらなかった剣で山犬を救ったのだから。


「つまり、この剣は「絆の剣」なんだ。」


「え?」


「協調、努力、創造。それは全て誰かのためにするものなんだ。守りたい、助けたいと思ったらそれが力になる剣なんだよ。」


「それで・・・。」


「うん、学校と、生徒と、そして君を・・・。」


「先生・・・。」


こうして、二人は急速に惹かれあったのだ。

そして、リナの卒業後、二人は結婚しショウが生まれた。


その時には、もうリョウは教師を辞めていた。

人のためにするということは、教師でなくても出来るはずだと信じて。


「創造、か・・・。」


ショウはその言葉をしっかりと心に刻み込んだ。

そして、両親の行動を一つ一つ参考にして考えていた。


そして、ふとショウは思った。


「そうか!創造とは、心の創造・・・つまり、守りたいと言う新しい気持ちに気づくことだったんだ!」


ただ剣を振り回せば言い訳ではない。

でも、新しい技を作ることでもなかったのだ。


それは、リョウの行動が全てを証明している。

ショウはそれに気がついたのだ。


「守りたい、と強く念じることで威力を増すんだ。それも、父さんの場合は相手も守るつもりだった・・・。」


確かに、結果的にリョウは山犬を傷つけていない。

魔力だけを取り除いている。


「よし、急いでみんなと合流しよう!」


ショウは二人の下へ合流することにした。

そして、その頃二人は・・・。


第十一章 終わり


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